十日町で先染め織物の魅力を知る!

京都・金沢に次ぐ、織物産地「新潟県十日町市」

新潟県の十日町市は織物の町。東京駅から2時間ほどで行けてしまう近さでありながら、四季折々の自然の風景が広がる里山として注目を集めています。この町の名産品である織物の歴史を紐といていくと、奈良・平安時代にも記述が確認できるほど歴史の長い織物の町だということが分かります。

「着物」といえば、京都や金沢を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、百貨店や東京の呉服店にフラっと入ってみると必ずと言っていいほど、新潟県十日町の織物が置いてあります。「十日町紬絣」や「明石縮」は着物業界でも有名で、京都や金沢に次ぐほどの名の通っている「着物の名産地」です。

 

根啓織物は「先染め織物」の伝統を引き継ぐ唯一の織元

昭和2年創業の根啓織物では、十日町紬絣や明石縮を「先染め」「くびり染め」という昔ながらの伝統技法で独特の風合いを持つ織物を織っています。「糸を先に染め上げてから織る技法」が継承されている織元なのです。

着物や反物って、数十万〜数百万の値段がついてますが、その制作工程を見てみると、その価値がある丁寧な職人の技法の賜物だということに気がつきます。

今回、案内をしてくださるのが根津圭介さん。

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一つ一つの行程を先染織り職人と巡る

織物には設計図があって、その図面と同じ柄が出るように一つ一つの工程を進めていきます。最初に通されるのは、「手延べ」をするための工場(こうば)。ボビンに巻かれた糸を「経糸」と「緯糸」別に設計図で決められた本数へ分けていきます。「手延べうどん」なんて言葉を思い浮かべますが、正に白い糸を絡めず、重ねずに伸ばしていきます。

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▲整然と並んだ糸

 

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▲この織元で「一番若い」職人さん(入社40年目)

 

いつの間にか隣にいたのですが、この写真の方「十日町の伝統的な先染め織物の技法」を説明してくれる職人さんです。根啓織物で「一番若手」なのが、こちらの方です。

 

続いての工程は、「墨付け」と呼ばれる先染め技法の中でも重要な工程。
糸に色をつけるのには、色々な方法があって、そのための目印を糸に付けていきます。

これは、目印をつけた糸を括って染色した後の様子。
括った糸を染色液につけると糸が色を吸い上げていくのですが、適度に吸ったタイミングで液から取り出します。
この「適度」な塩梅というのは職人さんにしか分かりません。織った時の色の出方も、ここで決まるということ。

「設計図に合わせて、糸に色を吸わせる」

染料の濃さや糸の色の吸い具合は「その日の気温や湿度」に左右されるとのことで、明確な基準はなく、目測なんだとか。

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▲織物の設計図

 

その後は、糸を伸ばして工場いっぱいに広げられました。
ここから、「くびり」と「摺り込み」という先染めならではの技法に移ります。
「先染め」というのは、いわゆる「先に糸を染めてから織る」という技法。名前の通り。
糸全体に色が浸透するため、裏地にまで模様がくっきり浮かぶのが特徴です。

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色を出す部分と出さない部分とを分けて、色を表に出す部分を「くびり」ます。
染めた糸を糸で縛って、上から染まらないようにするのです。

 

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こちらは「摺り込み」、先ほど「絶妙に色を吸った糸」の色をぼかしたり、擦れさせたりしています。
ここで、よく考えて欲しいのが「縦糸」と「緯糸」が合わさって模様が出るということ。分かりますか?
「色の染み具合」と「色の摺り込まれ具合」がピタリと合わないと綺麗に柄が出ないわけです。

設計図があるとはいえ、別々の糸の「色の出方と擦れ方」を調整しているのです。

「実際は織ってみねぇと、どんな風に出るかワカラネェんだけどな笑」

と話す職人さんですが、この言葉から受け取るイメージよりも、ずっと正確に色の出方が頭に浮かんでいるのだと思います。

 

最後はいよいよ、織りの行程へ

「撚り」は「より」と読みます。糸をネジりにネジってから織ると、涼しげでサラリとした手触りになるのです。

明石縮と呼ばれている十日町の織物は「和銭の穴」に通るくらいの糸の細さに撚りの加わった織物もあったと聞いています。今は、その技術はなくなってしまいました。織元によって染めや織りの技法は様々なので、目の前にいる職人さんの技術でしか作れない「十日町の織物」を感じざるを得ませんね。

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小気味良い音が響きます。
先ほどの糸が機械にかけられ、人の手によって柄がズレないように微修正していきます。

根啓織物さんは、外部からの工場見学も受け入れています。
ただの工場見学じゃない、職人さんが工程の一つ一つを丁寧に説明してくれます。
十日町の織物を愛しているからなのか、「織り」と「染め」に関する様々なことを次々に話してくれて、時間がいくらあっても足りないくらい。

「着物って良いなぁ」と思っているあなた。さらに奥深い「伝統的な織りと染め」の世界に足を踏み入れてみませんか?ここで教えてもらったことだけで、東京の呉服屋さんと1時間くらいは談笑できます。

十日町を知るには、織物から。
是非、いらっしゃってください。

 

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大塚眞
地域を開く、地域を拓く。 十日町のことを「つまびらか」にしながら、外に大きく開いていく。 Co-lab Mediaとおかまちを通して、"地域びらき"を実践することで多くの「モノゴト」が起きれば良いなと思っています。この写真、目がイッてますね。